映画『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』から学ぶ、人を魅了するブランディングとは?

クリエイティブ

はじめに

皆さんは、好きなブランドはありますか?

特にこだわりがない方もいれば、こだわり抜いている方もいるかと思います。

好きなブランドがあるとしたら、

そのブランドのどんなところが好きなのか?
なぜそのブランドが好きになったのか?

について話すことはできますか?

デザインが好き、ストーリーが好き、ブランドに関わる人々が好き、など理由も様々あるでしょう。

その数々の ”好き” を生み出しファンを獲得するために、ブランド側ではブランディングが織り成されています。

ブランディングとは、ブランドを消費者に認知させ、市場における自社(商品)のポジションを明確化することです。
※詳しくはこちらの記事をご覧ください。
意外と知らない?「ブランディング」とは。正しい意味を理解しよう

ブランディングを使いこなすことができれば、多くの人々の心を掴むことができます。

そんなブランディングの真骨頂を学ぶことができるのが、
映画『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』です。

 

バンクシー・ダズ・ニューヨーク(字幕版)

  • マーケティングができるようになりたい
  • クリエイティブな発想力を身に付けたい
  • 情報発信して影響力を与えたい
  • ファンを作りたい

という方々に是非チェックしていただきたい映画です。

あらすじ

2013年10月1日、バンクシーがニューヨークで展示をスタートさせたました。
告知もなく突然始まったその展示は、毎日1点ニューヨーク各地の路上に作品を残し、場所を明かさず公式サイトに投稿。

人々はその作品を求めてニューヨーク中を駆け回るという、ストリートとインターネット上の両方で勃発した「宝探し競争」でした。

ニューヨーク中で “バンクシー・ハント” が加熱。

Twitter、Instagram、Facebook、Vineを駆使してバンクシー作品を探す者や、偶然そこに居合わせたラッキーな者、作品を上書きするグラフィティ・ライター、アクリル板で保護するビルオーナー、即作品を売買するギャラリーオーナーなどが沸点となり、バンクシーの作品を取り巻くハプニングが多発。

これを受けたニューヨーク市警は、バンクシーの活動は違法であると逮捕することを宣言。

前ニューヨーク市長であるブルームバーグ氏は、

「他人や公共の財産に損害を与えるものは芸術に値しない」

と言います。

しかし、その発言に反するように、バンクシーが落書きした財産は逆に芸術としての価値が上がり、ますます多くの人々の心を鷲掴みに。
ニューヨークの街は様々な人間の思惑が交錯して大騒ぎになります。

ありとあらゆる社会問題をアートに絡め、作品の中で常に社会とアートの在り方を問うてきたバンクシー。

「都市や屋外や公共の場所こそ、アートが存在するべき場所なんだ。アートは市民とともにあるべきだ」

と語る彼が、ニューヨークをハックした1か月を追ったドキュメンタリー映画です。

映画の公式サイトはこちら

バンクシーとは?

バンクシーは、正体不明のストリートアーティスト。世界各地でゲリラ的に作品を描くことで知られています。

彼が壁や路上に「違法」に描いたグラフィティは世界的な注目を浴び、転売屋によって勝手に美術館などに展示されたり、オークションで高値で売られたりして、驚くほどの高値を呼んでいます。

一般の方々だけではなく、ブラッド・ピットやアンジェリーナ・ジョリー、キアヌ・リーブス、ジュード・ロウ、クリスティーナ・アギレラなど、セレブにも彼のファンは数多く存在します。

  • 自らの作品をMoMA、メトロポリタン美術館、大英博物館などに無断で展示
  • ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区の分離壁に、イスラエル軍から威嚇砲弾されながら絵を描く
  • 仏カレーの難民キャンプにシリア移民の父を持つ故スティーブ・ジョブズを描く

など、つねに作品で問題提起をしており、議論を巻き起こしています。

2010年にはドキュメンタリー映画『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』を初監督し、アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にノミネートもされ、アーティストとして名高い彼が、ほかの分野でも多才を発揮しています。

 

The Art of Banksy

Banksy Official Site

NY滞在中に毎日更新されていた話題のInstagram

 

 

 

 

 

 

 

バンクシー・ダズ・ニューヨーク(字幕版)

バンクシーから学ぶこと

バンクシーに絵の才能があることは勿論ですが、彼の人気を生み出した要因は彼のブランディング力が大きいでしょう。

私の考える彼の主な戦略は3つあります。

1.「見に行かなきゃ!」と思わせるライブ感

バンクシーの作品(写真左)を発見した人々が集っている様子

 

バンクシーはニューヨークに来る際に、1ヶ月間毎日1つアート作品を発表すると宣言。

作品を人が見ていないうちに完成させ、完成品を自身のInstagramにアップしました。作品がどこにあるのかはアップされた写真からの情報しかないため、人々は彼の作品を見るためにニューヨークの街中を徘徊します。

見つけるだけでも一苦労ですが、その分見つけた時の喜びは大きいことでしょう。

さらに、作品はずっと存在することがなく、バンクシー自身によって消されたり、彼を崇拝するアーティストや、逆に煙たがるアーティストによって上書きされたり、金儲けのために利用する人などの手によって忽然と姿を消してしまったりします。

日が経てばたつほど、人々は「彼の作品を見つけなきゃ!」と思うようになり、虜になっていきました。

美術館などで作品を見るときに、ただ画廊を眺めるだけでは退屈してしまう方も少なくないと思いますが(私もそうでした)、作品を見るために街中を今すぐに駆け巡らなければならないというライブ感によって、人々を楽しませ続けました。

 

2.転売ヤーを味方につける

約13億円で落札されたバンクシーの作品|The Art of Banksy

 

バンクシーの作品を求めて盛況する人々の様子を見て、作品を盗んで転売する人や美術館に置く人、見物料を支払わせる人など、いわゆる転売ヤーの出現が後を絶ちませんでした。

私利私欲のために行動を起こす転売ヤーは、購入者からも、生産者からも、一見嫌われやすい存在です。

しかし、バンクシーの価値は転売ヤーの人々によって急上昇していきました。

街中を駆け巡るも作品を見ることが出来なかった方や、市場価値の高さゆえに財産として手中に収めておきたい方、バンクシー自身に魅了されて何度も作品を見たい方など、様々なニーズに応える形で転売ヤーの行いはバンクシーの市場価値を高めていきました。

バンクシー自身がそこまで計算していたのかはわかりませんが、彼自身は手を施さずして、転売ヤーの人々が自身の作品価値を高めてくれました。

 

3.問題提起で気づきを与え、考えさせる

『The Banality of the Banality of Evil』
ヒトラーらしき人物がベンチに座り、黄昏ている様子

 

精肉工場が多いエリアで、家畜のぬいぐるみを積んだトラックを走らせる、ディズニー名作キャラクターのダンボを射撃する動画の流出、スラム街の壁に作品を作り一般人が普段踏み入れないような場所と人に巡り会わせる、など、バンクシーの作品は社会問題を絡めているものばかり

当たり前だと思っていたこと、蓋をして隠してしまった過去、見て見ぬ振りをしている現実などに敢えて人の目を向けさせ、再考する機会をアートを通じて与えいていました

何気のない日常生活を送っていると、どうしても社会問題や過去の事件などは遠い存在のように感じてしまい、忘れてしまうことが多いと思います。

バンクシーはアートという手段を駆使して、ニューヨークの人々へ常に問題提起し、気づきを与え、思考を巡らせ続けていました。

作品をただ見て楽しむだけではなく、アートの中に深く考えさせるテーマを結びつけたことによって、バンクシーの作品は人々の記憶に強く残り続けています。

おわりに

ブランディングという言葉は、一見私たちの生活にはさほど関係のないことのように思えるかもしれません。

今までなぜこのブランドが好きなのか、こだわってしまうのか、またはこだわりがなくともなぜ自然と手に取ってしまうのか。深く考えたことはありませんでした。

しかし、私たちがつい手に取り購入してしまうもの、注目してしまうもの、興味関心を抱くものには、巧妙なブランディングが成されているかもしれない!ということを、『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』から学びました。そして、ブランディングは我々の生活と密接に関係しているのではないかということに気づきました。

ブランディングを知ることで、情報を受け取る側の視点だけではなく、発信する側の視点を持つことが出来ます。

どちらの視点も持つことができれば、

  • 人々を楽しませ続けること
  • 自分の市場価値を高めること
  • 人々の記憶に強く印象を残すこと

につながり、お仕事で活躍したり、好意を抱く人に対してアピールできたり、自分の発想が広がるかもしれません。

ブランディングに興味がある方・興味を持った方は、ぜひ『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』をご覧ください!

めい

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元SE/現NEET、映像制作を勉強中。古着とダンスと美術館が好きです。 主に映画、たまに本から学んだことを発信していきます。 アートや文化から楽しく学び、得...

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