バンクシー監督映画から、「問い」と「本質」の重要性を知る

はじめにーMr.BrainWashとは?ー
皆さんは、一度はこのCDジャケットを目にしたことはないでしょうか?
アメリカの有名ポップシンガー・マドンナのアルバム「セレブレーション」のジャケットです。
このジャケットのデザインを手がけた人物はミスター・ブレインウォッシュ。
彼はマドンナ以外にもレッド・ホット・チリ・ペッパーズやザ・ブラック・キーズ、リック・ロスなど、多くの有名ミュージシャンたちのジャケットデザインを手掛けています。
また、世界的有名アーティストのバンクシーからお墨付きだったり、「ウォーホルの後継者」とも謳われたりする、巷で注目を浴びる新星アーティストです。
そんな大物アーティストの名前を背負うくらい期待されているように見えるミスター・ブレインウォッシュですが、実は美術経験・実績ともにゼロ。
本名はティエリー・グエッタ。元々はビデオ撮影が趣味の古着屋さんです。
「苦労して実績を確立する」とされているアート業界の中で、なぜ経験も実績も何も持っていないティエリーが成功を果たすことができたのか。
その真実を知った映画が、『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』です。
本作品は世界的に有名なグラフィティ・アーティストのバンクシーが初めて監督を担った作品。
この映画から、
- メディアによって作られた価値観に洗脳されていること
- 物事の裏側まで知る重要性
を学び、問いを持つことと本質を見抜くことの重要性に気づきました。
アートが好きな方はもちろん、
- 流行りものが好き
- 情報に惑わされやすい
- 自分で事業を展開したい
- 新しいものを世の中に広めたい
のような方々にも是非観ていただきたい作品です。
あらすじ
ビデオ撮影が趣味のティエリー・グエッタは、ロサンゼルスでそこそこ人気の古着屋を経営。
街中でも家の中でも、誰彼問わずカメラを手放さない彼ですが、従兄弟のストリートアートを撮ったことをきっかけに、ストリートアートに興味を持ち始めるようになります。
ティエリーは様々なグラフィティ・アーティストと出会い、彼らの素顔を撮影するうちに念願だった伝説のバンクシーとの接触が叶います。
バンクシーと関わるうちに、彼はやがてアーティスト“ミスター・ブレインウォッシュ”に変貌していきますが、その末路はバンクシーの予想を反したもの。
現代のアート業界を痛烈に皮肉りつつも、最高にユーモアの溢れたドキュメンタリー作品です。
アートとメディアの狭間で学んだこと
前述の通り、本作品からは2つのことを学びました。
メディアによって作られた価値観に洗脳されている?!
”ミスタ・ブレインウォッシュ” と名乗り、いきなり大規模な展示会を計画するティエニー。
バンクシーを始め、ミスター・ブレインウォッシュの作品制作に協力したアーティストや企画担当者などアートに対して肥えた目を持っている方々は、ミスター・ブレインウォッシュの作品に対して
「見るに耐えないもの」「ウォーホルの模倣」
などと皮肉的な意見を持っていました。
しかし、メディアの報道や世間の声は彼らの思いに反し絶大な人気を誇り、成功を収めます。
展示会へ駆けつけた人々は、本当にミスター・ブレインウォッシュの作品に惹かれて足を運んだのでしょうか。
彼が有望アーティストとしてデビューを果たすことができたのは、メディアの報道のおかげだと感じました。
というのも、アート活動の助手として動いたティエニーに対して心を許したバンクシーは、ミスター・ブレインウォッシュの活動に関する宣伝メッセージを流しますが、メディアはその「バンクシーのお墨付き」という事実を誇大広告化。
ミスター・ブレインウォッシュのこれまでの実績や経歴のことには一切触れずに、あたかも注目アーティストの一大イベントとして展示会を報じました。
メディアは伝える部分と伝えない部分を分けて報じていたのです。
もしミスター・ブレインウォッシュの事実を赤裸々に報道されていたら結果は変わっていたかもしれません。
それくらい、人々の興味関心を寄せるものはメディアによって操作されているのではないかと気付かされました。
物事の裏側まで知る重要性
映画の題名『イグジット・スルーザ・ギフトショップ』は、「売店のある美術館の出口」を意味し、アートには商業主義がつきものであることを示唆しています。
図らずもバンクシーはミスター・ブレインウォッシュの商業的成功を後押しする形になってしまった為か、以降、自らドキュメンタリーを手がけることから手をひきます。
ミスター・ブレインウォッシュが成功を収めることができた要因の一つに、彼が古着屋のオーナーをしていたことも関連していると感じました。
商売人の血筋が通る彼は、まさに商業とアートを結びつけました。
メデイアではアーティストとしての成功者であるかのようにミスター・ブレインウォッシュとして報じられていましたが、彼のアーティスティックな才能が買われたのではなく、売ることが上手だったため世間の注目を浴びることができたのです。
情報を受け取る側の私たちは、受け取った情報を特に抵抗なく受け入れて自分の知識として取り入れますが、物事の裏側を知ることでそのものの見え方が変わり、本質を見抜くことができるのではないかと気付かされました。
問う力、本質を見抜く力を身につけよう
バンクシーは作中でこのような言葉を残しています。
物事の本質は隠されていることが多いがメディアは表面しか見ない
メディアによって価値観の洗脳を受けていること、本質を見抜くことをおざなりにしているとわかると、身の回りに溢れる情報に対して、問う力と本質を見抜く力を身につけるべきではないかと思いました。
メディアの情報を信じることやそのまま受け取ることが間違っているわけでは決してありません。
しかし、クリエイティブな脳みそを得るためと考えるならば、情報に左右されたままではいけないと感じました。
映画を観ていて気づいたことは、ティエリーの撮影に協力したバンクシーをはじめとするアーティストの方々は、むしろ価値観の洗脳をきたすメディアに立ち向かい、常識を覆すような発想を展開していたこと。
また、彼らはただアートが好きだから作品を作っているのではなく、受け取る方々に対して伝えたい情報を作品に託しています。
アートはもちろんですが、アートに限らず、託された情報を受け取る側の、情報を受け取る体制が整っていれば、決まりやしきたりにとらわれずに生活できる方々が増えるのではないかと思いました。
「なぜこれを好きだと思ったのか?」
「なぜこの人は活躍しているのか?」
「なぜ今これが流行っているのか?」
「なぜ多くの人々はこれを当たり前のように使っているのか?」
のように、問う力、本質を見抜く力を身につけることで、自分オリジナルの価値観に気づき、メディアによる価値観の洗脳から解かれるのではないかと思います。
おわりに
本作をきっかけに、身の回りのありとあらゆるの物事や事象に問いを持つことと本質を突き詰めることを意識するようになりました。
今まで誰かが「好き」といったのもが「好き」だったり、流行りのものになんとなく飛びついていたり、自分の価値観を失っていたことにも気付かされました。
情報に惑わされずに問いを持ち、本質を見抜くことは、クリエイティブな発想を得るために必要不可欠です。
気になった方は、ぜひ映画をチェックして問う力、本質を見抜く力を身につけてみてください。
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