才能よりも大事なこととは?天才バレエダンサーの苦悩から学んだこと

はじめに
皆さんの周りに「天才」と称されるような方はいらっしゃいませんか?
常人を超えるような頭脳の持ち主、超人的な身体能力の持ち主、諦めることを知らない努力の天才など、ほとんどの方々が持っていない能力を持つ人は多くの人々から羨望の眼差しを受けます。
そんな天才たちを追った作品を観たら、もしかしたら盗めるものがあるかもしれない。
と思って今回観た作品は、『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』です。
セルゲイ・ポルーニンは、バレエ界に数々の伝説的な記録を残した天才バレエダンサー。
彼の半生を撮った作品から学んだことは、天才の根元ではなく、才能よりも大切なことがあるということでした。
それは、様々なしがらみに囚われないこと。
期待、常識、周囲の目など、自分自身を縛る要因は身の周りにあふれていますが、囚われることで思考停止してしまいます。
本作を通じて、才能を持つことよりも、囚われずに生きることの大切さを学びました。
バレエやダンスが好きな方にはもちろん、自分にはこれといった才能がないと思っている方などにもぜひ観ていただきたい作品です。
あらすじ
と謳われる類い稀なる才能と、それの才能を持て余してさまよう心。
才能よりも大事なこととは、囚われないこと
ポルーニンがバレエダンサーとして今でも活躍を続けることができている所以は、もちろん才能に恵まれている面もありますが、囚われないことこそが最大の秘訣であると感じました。
彼が囚われなかったこととは、以下の3つであると思います。
家族や友人の期待
ポルーニン一家は、一家揃ってバレエ学校の学費、渡航費、レッスン料などを工面し、ポルーニンを応援し、期待を寄せていました。
自分がバレエを続けることで家族が幸せになると考えていた彼ですが、両親の離婚をきっかけにその使命はなし崩しになり、「情熱がなくなってしまった」と作中で嘆きます。
みなさんも、幼少期から継続していること、家族や友人に勧められて継続していることなどはないでしょうか。
自分の意思で続けたように見えて、実は今自分が好きなことややりたいことは、人から与えられた価値観から作られているのではないかと彼を観て感じました。
特に親しい方々から期待を寄せられると、自分の意思は差し置いて期待に応えるようと努めてしまうこともあるかもしれません。
しかし、自分が頑張る理由がなくなった途端に、自分の意思がないと崩れてしまいます。
期待に応えること自体は良いことですが、期待に囚われると途端に選択肢が狭まると感じました。
人生における選択肢をたくさん持っておくためにも、期待に囚われすぎず自分の気持ちに正直になって、やりたいことをやったほうがいいと思いました。
バレエ団の古い風習
ポルーニンが最年少で主役の座を勝ち取った英国ロイヤル・バレエ団は、フランスのパリ・オペラ座、ロシアのマイリンスキー・バレエに並び “世界三大バレエ団” と称される格式高いバレエ団です。
人気絶頂のところで電撃引退したポルーニンは、裏切り者扱いをされ、バレエダンサーとしての活躍の場が遠ざかります。
しかし、バレエ団を辞めたポルーニンは辛いレッスンや単調な仕事から解放され、喜びに満ち溢れます。
格式高いバレエ団のように古くから存在する企業や事業などは、伝統的な規則や習わしを重んじる部分がないでしょうか。
規則に則る行いをする人こそが正しいとされ、当てはまらない人は必然的に怪奇の目で見られることがあるかと思います。
自分の中の理念とその規則が重なっていれば問題ないですが、ポルーニンのようにその縛りを「苦しい」「不自由」と感じることも少なくないはず。
規則に囚われてしまうと、せっかく持ち合わせた才能も努力してきた功績も発揮することができません。
常識の枠から外れることで、新たな自分を見つけることができるのではないでしょうか。
世間体
引退前から全身タトゥーや薬物摂取、レッスンの無断欠席などで世間を騒がせていたポルーニンですが、メディアは引退後も何かと彼の悪い面を取り上げ、世間から反感を買うような事態もありました。
その影響は彼の仕事にも及び、自分が何のために踊るのかが段々と見えなくなってきてしまいます。
数々のイレギュラーな行動をしてきた彼でも、世間の厳しい見方が彼のメンタルに影響を及ぼさなかったことはないと思います。
特に仕事などにおいては、周囲の評価無くしてレベルアップすることはできません。
しかし、ポルーニンを見て感じたことは、世間体に囚われすぎると、自分を見失い自責の念に苛まれることになるかもしれないということです。
「世間の目など気にせず自由でありたい」という本心が反骨精神に変わり、ポルーニンは奇行を繰り返すようになったのではないかと感じました。
自由であることは何かと咎められやすい傾向にありますが、世間体に囚われて視野が狭くなってしまうことよりも、反感を買っても世間体を気にせず自分を表現することを大事にしたいと思いました。
囚われないセルゲイ・ポルーニンの今
様々な縛りに苦悩してきたポルーニンは、最終的に「踊って跳躍している時=自分」と認識し、今でもダンサーとしての活動を続けています。
他にも、2017年上映の「オリエント急行殺人事件」で本格的に俳優デビューを果たしたり、『セルゲイ・ポルーニン基金』という若い才能の発掘、育成のためのチャリティー組織を立ち上げ、恵まれない子どもや若者たちにプロ水準のダンス教育の機会を提供したりしています。
その活動の根底には、
「バレエやダンスをより多くの人たちに知ってもらい、もっと業界全体を活性化していきたい」
という強い思いがありました。
ダンサーとしての才能を使っていくことが自分の使命だという結論に至ったポルーニン。
そのような考えにたどり着くことが出来たのは、おそらく家族の期待や、バレエ団の規則、メディアなどに囚われなかったからであると感じます。
何にも囚われず自由奔放に生きることは、大人になれない子供のように思えるかもしれません。
しかし、囚われないことで、自らが人生の道を切り拓き、自分が持てる力を最大限に発揮することができるのではないでしょうか。
類稀なる才能がなくても、囚われずに生きることを大切にしようと思いました。
ちなみに、セルゲイ・ポルーニンは日本のダンサーとコラボし、2020年9月に来日公演を行う予定です。
ぜひ、映画とともにチェックしてみてください。
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