『アウトプットのスイッチ』から学ぶアウトプットの高め方〜2種類のアウトプット編〜

アウトプットの質を高める
こんにちは。ライターのまゆみです。
今回は水野学さん著書『アウトプットのスイッチ』をご紹介します。
企画や商品開発を職業としている方、将来ブランド作りや会社経営を目指している方にオススメの書籍です。
著者である水野さんはクリエイティブディレクターとして、NTT docomo クレジットサービス「iD」「DCMX」ネーミング・初期ブランディングデザインや熊本県のゆるキャラ「くまモン」の企画・デザインなどを手掛けてきた方です。
今のマーケットでは、物が売れない時代と言われています。
テレビを例にすると、2011年7月に地デジへ完全移行のタイミングでブラウン管から薄型液晶テレビへ移行しました。地デジ化の影響で「必要になったから買う」人が多く、どのメーカーもテレビを売ることができました。
引用元:日本経済新聞
しかし、その後2011年〜2013年の売上は低迷。2014年は消費税8%増税の関係からか、一時的に売上を伸ばしましたが、以降は売上が低迷しています。
その原因の一つは、良質な商品であっても、どこの製品も似たようなものばかりで他社との差別化が図れず、売上に繋がりづらくなってしまったためです。
便利な世の中になるにつれて、市場が飽和状態となり、大ヒット商品を生み出すのも難しくなってきたわけですね。
この問題について、水野さんは他社との差別化を図るにはアウトプットの質を高めることが重要だと言います。
このアウトプットについて全3回に内容を分け、具体的にどんな視点で物事を分析・アウトプットし、販売につなげていくのかをお伝えします。
今回は第1回目として、「アウトプットとは何か?」について、2種類の視点からシェアしていきます。
アウトプットのスイッチ
著者 水野学さん
日本のクリエイティブディレクター、クリエイティブコンサルタント。グッドデザインカンパニー代表。
ブランドや商品の企画、グラフィックデザイン、パッケージデザイン、インテリアデザイン、宣伝広告、長期的なブランド戦略をトータルに手がける。
そもそもアウトプットって何?
「インプット/アウトプット」という言葉は聞いたことある方も多いと思います。
インプットは知識や経験を吸収すること、アウトプットは学んだことを実行すること。
しかし、今回のテーマである”アウトプット”というのは少し意味合いが違います。
アウトプットとは「最終表現」であると書籍の中で水野さんは述べていました。
そしてアウトプットの裏側にあるものを見抜くことが、アウトプットの質を高めるポイントになります。
見た目だけじゃなく、中身を極める
書籍では2種類のアウトプットが紹介されています。
A:「品質」「価格」「デザイン」「パッケージ」「広告」と言った意識的なアウトプット
B:発信する人や会社が内包(ないほう)している無意識のアウトプット
Aはどこの企業も力を入れて取り組んでいるアウトプットですが、Bはどうでしょうか?
Bは商品を作るにあたり、どんな物語があって何を伝えたいか、どんな人に購入して欲しいかなど発信する側が商品やターゲットに抱くアウトプットのことです。商品の本質をかなり突き詰める作業ですね。
実はほとんどの企業はこのBができていない場合が多いです。
最近だと、手作りマスクが売れにくいという事例が挙げられます。
個人のインターネット販売がほとんどなので、企業の販売と規模は異なりますが、商品を売るという本質的な部分は同じです。
新型コロナウイルスの影響でマスクは必要とされているのに、なぜ手作りマスクは売れないのか?
札幌でWebプロデューサーをされている白藤沙織さんは「売ることだけ考えて、お客様を想像していないから」と仰っていました。
つまりBの”どんな人に購入して欲しいか”です。
白藤沙織さんのブログはこちら
AとBの両方が成り立つ=真のアウトプット!
商品の品質やデザインなどの見た目だけでなく、「なぜ商品を作るのか」「何を伝えたいのか」などの背景までを形にすることで、他社との差別化を図り、商品のブランド化に繋がります。
次に、実際に無意識のアウトプットを形にした具体例を見てみましょう。
作り手の「思い」や「意義」の重要性
少し商品とは離れて、とある動物園のお話をしたいと思います。
北海道旭川市にある「旭山動物園」。日本で来園者数の一番多い有名な動物園ですよね。
実はアウトプットの成功例なのではと、水野さんは言います。
一時期、来園者数が減少し一時閉園も余儀なくされました。
しかし動物園で一般的になった「行動展示」を先駆けたり、旭山動物園の名物「ワンポイントガイド(飼育員が担当動物について深く解説してくれること)」を行ったおかげで、来園者数は増加。
引用元:旭山動物園だより|知ってる? 動物園の役割 『調査・研究』について
画期的なアイディアで作られた動物施設も有名ですね。これには、旭山動物園スタッフのある思いから作られています。
「動物の持っている習性や能力を伝えたかった。居心地のいい場所をつくり、そこで生き生きと能力を発揮する動物を見て人間が感動する。その感動から、動物や自然環境の問題に少しだけ思いをはせる。それが旭山動物園の考える行動展示なんです。」
週刊SPA!編集部 書籍『旭山動物園の奇跡』より抜粋
他の動物園は「稀少動物」を呼ぶなどで注目を集める中、旭山動物園は既存の動物たちを本来の姿に近い状態で見せることで人気を博しました。動物の習性を熟知しているからこそ成し遂げられた結果であり、まさしくBのアウトプットに当てはまるのではないかと思います。
週刊SPA!編集部 書籍『旭山動物園の奇跡』にて、創立からこれまでの歴史を振り返ることができます。
何より飼育スタッフさんの「伝えたい思い」や「動物園の存在意義」をより感じられる1冊となっています。とても読みやすいのでぜひ見てみてください!
旭山動物園の奇跡|書籍詳細|扶桑社
アウトプットの質を高めるためには
今回は「アウトプットとは何か?」についてお話しました。
何か商品を販売したり、情報を発信したいと思った時に、「何を伝えたいのか」という思いを形にすることが大切だと学べたと思います。
伝えたいことをハッキリさせると、商品や情報の方向性がブレることはないですよね。
A:「品質」「価格」「デザイン」「パッケージ」「広告」と言った意識的なアウトプット
B:発信する人や会社が内包(ないほう)している無意識のアウトプット
商品企画などをする際は、ぜひこちらを意識して行ってみてください。
次回は、第2回「売れるを作る」という内容でシェアしていきたいと思います。
(※6月上旬更新予定)
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