世界文学に触れて分かった『近代文学』の素晴らしさ

近代文学の感動はとても一言じゃすまない
こんにちは!ライターのマーです。
ここ最近、様々な世界の短編小説を読んでいまして、一つ一つにその国・地方の独自性があるなと。
いくつか述べていくと、
・北アメリカ:なんてことない日常を切り取ってストーリーにすることが多い。
・中央アメリカ:『人間の死』をテーマにした小説が多い。
・南アメリカ:『魔術』を現代に折り込んだ物語が多い。
・ヨーロッパ:労働や恋といった人間味があるものをテーマにすることが多い。
と言う風に、文化は違えど人生に対するドラマなど共感できるテーマが多く、意味不明な小説というものは私が読んだ書籍にはありませんでした。「翻訳者の方が日本人にも分かりやすい表現で書いているのかなぁ。」なんて思うほどです。
しかし、世界中の文学作品に触れたからこそ分かったのですが、日本の『近代文学』と呼ばれるものは実に楽しみながら深い学びがあるということを実感します。
なぜなら、森鴎外や夏目漱石が出した近代文学というものは現代文学と比べ、その時代についての前提知識がないとよく読めないものが多いです。面白く読む為には明治や大正、戦争といった当時の時代背景を知ることが必要です。
そのため、これらの近代文学は教養を身に付けるにはもってこいの書物となっております。
現代文のカリスマ講師である、出口汪先生の著書『本物の教養を身に着ける読書術』でも、読解力をつけるためには森鴎外や夏目漱石の作品に触れることを推奨しています。
本物の教養を身につける読書術
本物の教養を身につける読書術
森鴎外や夏目漱石といった近代を生きた方々は現代人と比べ、圧倒的な知性の持ち主です。
本書ではこういった知性の持ち主は現代にはいないと記されています。現代はあまりにも便利になりすぎたため、その分「モノ」を考える機会を失っているからです。
例えば、カーナビが出たことによって道を覚えたり1からルートを探す必要がなくなったり、レトルト食品が出た事により料理を覚える必要がなくなったりと便利さがある反面、『工夫の機会』を失っています。
文豪の圧倒的な知性にタダで触れられる時代
それに対して、近代は便利さとは無縁の世界です。
森鴎外を例にしましょう。
鴎外は医者の家系に生まれ、漢文の素養があり、蘭学※を習得してドイツ語で医学を学び、英語も習得しました。
※オランダを通じて日本に入ってきたヨーロッパ学問の総称。オランダ語で書かれている。
ドイツ語の先生なんて日本にはいないのにも関わらず、ドイツ語を読み、ドイツへ留学して細菌学者のコッホに師事します。その後もドイツ語で講義を受け、世界最高峰の医学講義を受けました。
しかも鴎外は欧州の文学を読みこなし、社交界にもデビューしています。
先生も辞書もない時代に、これだけの事を成し遂げた鴎外はどれだけ頭を使い、工夫したのか想像さえできません。現代ではあり得ない知性です。
そんな圧倒的な知性が渾身の力で書き上げた本が、今ではタダで読めます!
山椒大夫
Amazonで森 鴎外の{ProductTitle}。アマゾンならポイント還元本が多数。一度購入いただいた電子書籍は、KindleおよびFire端末、スマートフォンやタブレットなど、様々な端末でもお楽しみいただけます。
文豪達の作品に触れ続ける事で、圧倒的な知性と対話を繰り返し、自然と自分の世界がより一層広がり、深まること間違い無いでしょう。
圧倒的な知性と対話することは
・年収を今以上に上げること
・話が上手くなること
・考える力をつけること
など、今よりも希少価値の高い人間になることが自然とできるようになる、と出口汪先生は主張します。
ハッキリ申し上げると、タダで希少価値を高める事ができるのですからこれはもうチートですよ(笑)。
なぜ読めないのか??
しかし、そんな文豪の作品を読むことを難しいと感じる人が、現代を生きる人には特に多いです。
何故なら、だれもが自己主張ができ、嫌いなものを避ける事ができるからです。
現代では、個性を育む事が何より大切だと言われていますが、多くの人が自分と異なる意見や反対する意見を突っぱねてしまいます。
結果として、自分と似たような意見しか集まりません。
いい例がアマゾンでしょう。アマゾンでは、本を買った途端にAIが巧みに履歴から似たような本をオススメに提示していきます。書店に行かない限り、自分の関心のある本以外と触れ合う事が少なくなります。
SNSも同じ事で、自分の関心のある人をフォローし、同じ考えや思想をもつ人としかネット上で集団を作っています。それにより、自分の都合のいい情報しか集まってこないため、それ以外の情報は全部シャットアウトされます。
そうなると、自分の思想や思考こそが正しいと思い込んでしまい、異なる意見に対して人はヒステリックになります。
ですが、先ほど上げた文豪達は今とはまったく違う時代を生きた人たちです。彼らの作品を理解するには価値観、世界観を受け入れる訓練をしなければなりません。
それを『本物の教養を身に着ける読書術』では、『自分を殺す訓練』という名称で呼んでいます。近代文学が『読める』ということは価値観を受け入れ、時代を味わう事ができるということに他ならないでしょう。
想像力を磨けばビジョンを明確に描ける
では、『自分を殺す訓練』をする事がなぜ、年収をあげることに繋がるのかという話をしていきます。
圧倒的な知性の持ち主とは、『想像力』が段違いです。近代文学という実感が少ない時代で、いかに共感でき、いかに楽しく読む事ができるかは想像力の賜物でしかありません。
先ほどの森鴎外の例に戻るのですが、
彼は辞書も先生も身近にいない時代に、ドイツの細菌学者であるコッホに支持できたのは、家が裕福というのもあるかもしれませんが、そこに至るための『ビジョン』が明確だったからです。
ルートを示すと
漢文の素養を持っている
→外国語(蘭語)を紐解く
→蘭語からドイツ語を学ぶ
→ドイツ医学に触れる
→コッホに出会い師事する機会を頂く
といった道筋を明確に頭に浮かべています。
圧倒的な成功者と呼ばれる人は皆、明確なビジョンを持っているものです。
スティーブ・ジョブズ、孫正義、本田宗一郎、マークザッカーバーグといった世界を代表する商品や企業を発明した方々に共通していることは『ビジョン』を描くのが段違いだったということです。
未だ世に出ていない、前例のない世界を作り上げるビジョンを作り出すために、今ある資源・情報を繋げて全く新しいものを発明する、というものは想像力を働かせないとまず出来ないことです。
想像力を得て、ビジョンを描き出すためにも読書は有効です。
読書というものは、世界を想像しながらそこに生きる人たちも想像し、ストーリーを追っていくことが出来なければ有意義な体験になりません。
そして近代文学は共通項が少ないため、さらに想像力を働かせる必要があります。
近代文学を読むことは想像力を強く働かせ、今ないものをイメージするため、その頭の働かせ方は明確なビジョンを描くことと全くといっていいほど変わりありません。
だからこそ、近代文学に触れるべきなのです。
これは読んだ方がいい!
最後に、人生の中でこの本には触れた方がいいだろうという作品を3つピックアップしたいと思います。
『山椒大夫』(森鴎外 著)
端正な文体が実に美しい、森鴎外の最高傑作の一つ。安寿の受難がなんとも物悲しくなります。犠牲的な死を決意した安寿の眼に映る風景描写を丁寧に読み解くとラストシーンの感動がものすごい短編小説です。
山椒大夫
Amazonで森 鴎外の{ProductTitle}。アマゾンならポイント還元本が多数。一度購入いただいた電子書籍は、KindleおよびFire端末、スマートフォンやタブレットなど、様々な端末でもお楽しみいただけます。
『夢十夜』(夏目漱石 著)
10の物語を夢として表現した幻想的な作品。夢という形を借りて、自分の潜在意識や存在にあるものを浮き上がらせようとするもの。夏目漱石の文章力の高さが味わえる名著です。
夢十夜
Amazonで夏目漱石の{ProductTitle}。アマゾンならポイント還元本が多数。一度購入いただいた電子書籍は、KindleおよびFire端末、スマートフォンやタブレットなど、様々な端末でもお楽しみいただけます。
『堕落論』(坂口安吾 著)
第二次世界大戦後の混乱する日本社会において、全く新しい倫理観を訴える話。「堕ちる道を堕ちきることによって自分自身を発見し、救わねばならない」というフレーズは現代社会を生きる我々にこそ必要なのではないか、と思わされます。
堕落論
Amazon.co.jp: 堕落論 eBook: 坂口 安吾: Kindleストア
近代文学作品を読むことは、これ以上ないほど想像力を養う訓練になります。知の巨人たちの作品に触れることでものを深く見ることができ、ビジョンを描くことに寄与してくれます!
どれも出会えて心の底から良かったと思えるような作品でした!どれもこれもタダで読めますので是非!
この記事へのコメントはありません。