映画『風の谷のナウシカ』に込められた、宮崎駿監督の想いとは?

映画『風の谷のナウシカ』公開に至るまでの背景
どうも大学でジブリ映画の授業を選考していたフルザワです。
現在全国の映画館でジブリ映画4作品が上映されていますね。
どれも名作なので、ぜひこの機会に劇場のスクリーンで観ておきたいものです。
その中でも今回取り上げるのが、1984年公開の大ヒット作品、映画『風の谷のナウシカ』です。
この映画は宮崎駿がジブリスタジオを立ち上げるきっかけにもなった作品なので、ジブリ映画の代表作と言っても過言ではありません。
今や世界的に人気の作品ですが、実は宮崎駿の監督生命がかかっていた作品でもあります。
なぜなら、1979年公開の『ルパン三世カリオストロの城』で大コケしてしまい、監督としての信用を失っていたからです。
その為、映画『風の谷のナウシカ』は宮崎駿の再起を賭けた作品だったとも言えます。
作品に込められた想いや監督の背景を知るだけでも、映画をより楽しく観る事ができます。
映画『風の谷のナウシカ』に込められた想い【環境問題】
まず押さえておくべきは、本作は技術革命により荒廃した世界を描いているという事です。
宮崎駿の作品には強いメッセージ性が込められています。
その1つが環境問題です。
その他のジブリ作品でも環境問題を取り上げたものは多いのですが、『風の谷のナウシカ』は作品の根幹としています。
本作の世界では「腐海(ふかい)」と呼ばれる有毒の瘴気を発する菌類の森に覆われています。
有毒の瘴気を吸ってしまうと体が硬直してしまう為、常にマスクをして過ごさなければ生きていけません。
それは人間が技術革新を追求した先の世界を描いていると言われています。
作品自体はフィクションではありますが、現代のウイルスと共存していく世界と類似する所もあるのではないでしょうか。
映画『風の谷のナウシカ』に込められた想い【戦争】
宮崎駿は資本主義を否定し、競争のない社会主義こそが理想的だと述べています。
(左上:風の谷、右下:トルメキア)
その為、本作では風の谷を社会主義的な共同体として描いています。
そして、敵対する形で資本主義的な共同体としてトルメキアを描いています。
本作では風の谷とトルメキアとの国の対立を描いているのですが、これは現代世界にも置き換えられます。
20世期から世界では資本主義と社会主義の対立によりイラク戦争、ベトナム戦争などの戦争が起こりました。
イスラム国や朝鮮問題など未解決の対立は現代でも残っています。
しかし、それらは全て人間同士のおろかな争いに過ぎません。
では、どうすれば人類は共生できるのか。
宮崎駿はナウシカと共同体との関係性を通し、人類が共生していく様を描いています。
『風の谷のナウシカ』は戦争の悲劇を訴えかけると共に、これからの人類の歩むべき道を記していると言えます。
その事を念頭に作品を観るだけでも映画の深みをより理解する事ができます。
映画『風の谷のナウシカ』から学べる事
初めて本作を観る人もそうでない人も、作品と現代社会の繋がりを知るとより関心を持てたのではないでしょうか。
環境問題や戦争以外にも差別、貧困など『風の谷のナウシカ』には多くのメッセージが込められています。
1つのジブリ映画として楽しむことはもちろんですが、宮崎駿の想いを汲み取り、現実の世界に活かしていくこともできます。
ウイルスと共存していかなくてはならない世界で生きていく為にも、1人1人の問題に対する意識が重要です。
身の周りの些細なことから目を向けていくことで、宮崎駿の想いも意味を持つのだと思います。
そんなことを考えながらぜひ劇場へ足を運び、映画『風の谷のナウシカ』を観てみてはいかがでしょうか。
きっと今までになかった視点で作品にのめりこめるはずです。
ではまた。
この記事へのコメントはありません。