ジョージ・オーウェル著『1984年』恐怖の監視社会〜フィクションか現実か〜(ディストピア小説)

どうも大学の卒業論文を書いているフルザワです。
今回は1948年に執筆された、ジョージ・オーウェル著『1984年』について紹介します。(→書籍『1984年』はこちらから)
本書は社会不安が高まると流行る事で有名なディストピア小説です。
その内容は現代社会と類似する点も多く、私たちはどう生きていくべきかを考えさせられます。
目次
1.あらすじ
①本書の概要と恐怖の監視社会
②独裁国家の体制とスローガン
③チャリントンとオブライアン
④国の方針に従う為の二重思考
2.まとめ
①衝撃の結末と現代社会の繋がり
②書籍『1984年』から私たちへ
本稿では『1984年』の概要と共に、本書での学びを届けていきます。
あらすじー①本書の概要と恐怖の監視社会
主人公は1984年のイギリス真理省党外部で働く39歳の男性ウィンストンです。
登場人物は主に、
ウィンストン(主人公)
ジュリア(同僚・愛人)
チャリントン(小道具屋店主)
オブライアン(真理省党内局)
【ビックブラザー(独裁者)】
【ゴールドスタイン(反政府組織創設者)】
の6名で、ビックブラザーとゴールドスタインは映像のみで登場し、その他4名で話が展開されていきます。
この世界は3つの勢力に分かれていて、
オセアニア(イギリス・アメリカ・オセアニア)
イースタシア(中国・日本)
ユーラシア(ロシア・ヨーロッパ)
それぞれ独裁国家として成立し、北アフリカ・中東は紛争地帯となっています。
ウィンストンはオセアニアのビックブラザーという独裁者の国家で働いていると言う訳です。
国民は3つの階層に分けられ、
党中枢部(支配層)
党員(エリート層)
プロール(大衆)
ウィンストンと同僚のジュリアはエリート層、オブライアンは支配層、チャリントンは大衆に属しています。
このビックブラザーに支配されている独裁国家の恐ろしい所は、一家に一台あるTV(テレスクリーン)と街に貼られているポスターです。
テレスクリーンとポスターは国民を監視するためにあり、全ての情報は国が保持しているのです。
あらすじー②独裁国家の体制とスローガン
政府の機関は主に4つに分かれていて、
真理省(真実を歪める報道省)
平和省(軍を統括する軍事省)
豊富省(食料を配給する経済省)
愛情省(思想を統制する警察省)
その恐ろしい点は、省の名前と業務内容が反対であるというです。
ウィンストンは真理省記録局に勤めていて、日々音声入力で情報の改竄を仕事にしているのです。
ビックブラザーの支配するオセアニアには3つのスローガンがあり、
『無知は力なり』
『戦争は平和なり』
『自由とは隷従なり』
国に対抗する思想すらも警察によって取り締まりを受けます。
その考えを浸透させるため、週に一度国外の敵と国内の敵へ憎悪を掻き立てる“2分間の憎悪”という時間が設けられ、そこで敵国ユーラシアと反逆者ゴールドスタインの映像が流されるのです。
更には性的な欲望も禁止され、党員の義務として子供を作る行為のみ正当化されています。
その為、ウィンストンは妻と別居状態となっており、ジュリアと愛人関係に発展するのです。
あらすじー③チャリントンとオブライアン
本書はウィンストンが日記を付ける所から始まるのですが、この世界では文字を残す事も禁止されています。
では何処で日記とペンを購入したのか、それが町外れのチャリントンが営む古道具屋でした。
大衆が住む町にはテレスクリーンもなく、取り締まりも緩いのでした。
チャリントンと仲良くなったウィンストンは古道具屋の部屋を借り、そこに住むことにしたのです。
ウィンストンはビックブラザーの独裁国家に不満を持っており、そこから日記を書き始めたのです。
真理省党内局のオブライアンはウィンストンの心情を察して自らの家に呼び出すのでした。
あらすじー④国の方針に従う為の二重思考
ウィンストンを呼び出したオブライアンは、自らが反政府組織の1人であることを打ち明かしたのです。
そこで反政府組織に伝わる“あの本”と呼ばれる国の真実が書かれた経典をウィンストンに渡すことを約束します。
そこには国の上層部が権力を保持する為の政策、主にはエリート層と大衆に反旗を翻させない方法が記載されていたのです。
独裁国家が行っていた監視社会やスローガン、政府機関、政策は全て世界の3勢力に存在する上層部の人間が権力を保持する為に作られていたと言う訳です。
更にこの時、オセアニアの敵国はユーラシアからイースタシアに変更され、情報を改竄する仕事がウィンストンに任されるのでした。
つまり、独裁国家の方針が変われば、これまでの真実も新しい情報に改竄するという“二重思考”が導入されてたのです。
更には“ニュースピーク”という言語の種類を省くような政策も取られ、スローガンにある“無知は力なり”とは正にその為の方針だったのです。
まとめー①衝撃の結末と現代社会の繋がり
本書の衝撃の展開は反政府組織にウィンストンが所属し“あの本”を手にした後に起こります。
独裁国家に対抗する事になったウィンストンとジュリアは一体どうなってしまうのか?
その衝撃の結末はぜひ本書でご覧頂ければと思います。(→書籍『1984年』はこちらから)
YouTubeで中田敦彦さんも解説されていますので、その真実が知りたい方はぜひご覧ください。(→YouTube中田敦彦さんの動画はこちらから)
本書の設定から考えさせられる事は沢山ありました。
なぜなら、現代社会と類似して考えられる点があるからです。
現代でも一党独裁とも言える国家はありますし、テレスクリーンの様な国民を監視し、データを管理する役割を果たしているのはスマートフォンだとも言えます。
ビッグ・ブラザーのポスターはありませんが、街を歩けば至る所に監視カメラがあり、安全な反面、行動を監視されている監視社会だとも言えます。
そして、今でも中東や北アフリカ地域では戦争が行われていますし、貧富の差による国民の階級がないとは言い切れません。
本書のような世界をほんとにフィクションと捉えるだけでいいのか考えさせられます。
また、日本でも『1984年』のような政府機関の圧力で情報を改竄する映画『新聞記者』が2019年に上映された事が新しいです。(→Amazonプライム映画『新聞記者』はこちらから)
まとめー②書籍『1984年』から私たちへ
では、私たちには何もする事が出来ないのでしょうか?
本書から読み解くと、私の結論は知識を身に付けることだと考えます。
“無知は力なり”というスローガンがあった様に、その反対は“知とは力”である事がわかります。
本や映画、学術的論文、歴史的出来事を学ぶ事で知の力を身に付けられるはずです。
電子媒体が多い時代ではありますが、まだまだ紙ベースの情報は侮れないです。
本稿をきっかけに、読書量の少ない私たち日本人の本に対する意識が変われば嬉しく思います。
ではまた。
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